「ワカメです。禁忌の奥義である進化の秘法で先生が超強化!ロマンスだってまだなのに、アタシの人生どーなっちゃうの!?」
「くくく…力がッ、迸るぞ…!」
「え…児童強制猥褻で捕まりそうなオッサンのままじゃん…。てっきりモンスター化するのかと…」
「ワカメ、見た目で判断してはダメよ…!」
「あの男がどうやって進化の秘法を自分のものにしたのかは分からんが、こうなった以上、やるしかないか…!地獄の業火にその身を焼かれろ!メラミ!」
「磯野、見ろ!進化したこの力を!空を裂き、乱れ貫く氷矢!ヒャダインッ!!」
「ああッ!先生が放った無数の氷矢が火球を貫いていくッ!お父さんがパワー負けッ!?」
「進化の秘法で強化された魔力でーす!でも、メラミは囮でーす!」
「先生、私がいることもお忘れなくッ」
「お母さんが先生の背中を取った!夫婦の連携!我が家にはこれがあるんだ!結婚という当然のライフイベントさえこなせなかった中高年単身者の哀れなことよ!いわば人生の落伍者だ!」
「ムンッ!」
「なっ、何っ!?お母さんの炎の爪を先生が受け止めた!?あれは……剣!?先生は非力な魔法使いじゃないのかよ!?」
「炎の爪が凍っていくでーす!」
「凄まじい冷気と、氷刃のごとき切れ味を備えたあの剣は…!」
「そう、吹雪の剣だ」
「う、嘘でしょッ!?あの剣を打てる鍛冶師なんて滅多にいない超高級品じゃない!魔法の鎧といい、公立小学校教諭のオッサンの給与を超えてるわ!ま、まさかッ…!ローンを組んだっていうの!?」
「フフフ、バカ言っちゃいけない。現金一括払いだよ」
「嘘ッ、嘘よ!!そんなことできっこない!」
「青いな、磯野の妹よ。無趣味の中高年単身者の貯蓄額を甘くみない方がいい。さぁて、久しぶりに剣を振るうか…」
「母さん!奴から距離を取れ!熱波焼塵!光滅瞬閃!ベギラマッ!」
「ワイフの方から片付けるかな…。旦那は少し黙っててもらおう。地を割り出づる氷塊!ヒャダルコ!」
「なっ!?お父さんとお母さんそれぞれに向けて、2つのヒャダルコが同時発動!?」
「自身の詠唱によるヒャダルコと吹雪の剣の効果によるヒャダルコ…!お父さんのいかずちの杖によるベギラマ同時発動への意趣返しってワケ…!?」
「お前にできることは俺にもできるってことでーす!」
「ああっ、お母さんが距離を詰められた!」
次回を待て!